第3回 MASTER KEYプロジェクト定例会報告

MASTER KEYプロジェクト担当の国立がん研究センター中央病院の先生方とRCJが定期的に会合を持つMASTER KEYプロジェクト定例会。第3回めは、8月1日に行われました。
以下、定例会の内容のポイントを報告いたします。(NCCHは国立がん研究センター中央病院の略称)

定例会内容ポイント

1. MASTER KEY PROJECT(以下MKP)レジストリへの登録状況

(NCCH)MKPは当初予定よりレジストリパートへの登録数が2倍となっている(当初100例/年だったが、年間200-300例ペースで登録が行われている)。レジストリは登録数が増えるほど価値が上がるためずっと続けていく方針。

2. MKP副試験への登録状況

(NCCH)副試験がレジストリ約800名中80例で約10%。遺伝子異常にマッチした治療薬が投与された患者さんの予後はよい。バイオマーカーを有さない患者さんでも参加できる副試験があるため、バイオマーカーを有さないとしても積極的にレジストリにご登録いただきたい。

3. MKP登録に際しての課題

(NCCH)参加施設が4施設に増えたが、患者登録の際の課題が浮き彫りになりつつある。まず、MKPのすべての副試験が全参加施設でうけられるわけではない。国立がん研究センター中央病院のみで実施している副試験もあり、その場合には、他の施設から紹介いただくなどの工夫を行っている。

(NCCH)また、遺伝子パネル検査が全国どの病院でもすぐに受けられるわけではない。遺伝子パネル検査の保険収載後、検査を希望する患者が殺到していて、体制もまだまだ発展途上。

(NCCH)参加施設でのMKPへの相談がかなり多くいただいているが、相談を受けるスタッフ、患者さんともにMKPへの理解が不十分なことがある。MKPに参加したからといって、必ず副試験に参加できるわけではない。また、MKP副試験の一部では、試験参加の可否を判断するために遺伝子パネル検査を受けられるケースがあるものの、MKPとして遺伝子パネル検査を受けられるわけではないことなどは理解が進んでいない印象がある。がん情報センターの相談員研修などでMKPの情報を周知することや、患者さんへのさらなる情報提供も必要かもしれない。

4. 希少がんにとってのデータシェアリングの課題

(RCJ)希少がんのデータは貴重であるため、MKPでもデータシェアリングを検討すべきでは?患者側から効率化やデータに関する効率的な有効利用に関しての働きかけ要(欧米、中国では、データは患者のものであるという意識がある)

5. MKPのさらなる活性化の工夫

(RCJ)試験をどのように増やしていくか?

(NCCH)MKPへの参加企業を増やすとともに、医師主導治験や企業治験の数を増やすべく、企業にも提案を続けている。現在も複数の副試験を準備中であるため、さらに登録可能な副試験は増える見込みである。

6. 希少がん患者に対する遺伝子パネル検査とレジストリの意義

(NCCH)多くの希少がんについては確立した標準治療が存在しないため、保険診療下で遺伝子パネル検査を受けることができる。ただし、遺伝子パネル検査を受けたとしても、臨床的に意味のある遺伝子異常が見つかり、治療に結びつく患者さんは10-20%とまだ少数であることについては理解する必要がある。一方、遺伝子異常が見つからなかったとしても登録可能な副試験もあるため、レジストリには積極的にご登録いただきたい。レジストリは将来の希少がんの治療開発のための非常に重要なデータとなるし、レジストリのデータを活用した治療薬の薬事承認も将来的には可能になるかもしれない。自らの治療選択肢を増やすこと、未来の希少がん患者さんの治療をよくすることの両方の意味を理解いただいて、MKPへの参加を検討いただけると良い。